2009年1月23日金曜日

シンクライアントは死んだのか?PCとシンクライアントの使い分けを考える

2009/01/20 片貝 孝夫さんの シンクライアントは死んだへの返信投稿です。

「シンクライアントは死んだ」ということなんですが、そうだったら、ノートPCだって死んでいると思うわけです。両方いいところがあり、どっちかが絶対的に正しいというのは、PCとシンクライアントについては思い至りません。

> 米国などではシンクライアントはどう評価されているのですか?ノートPCは当たり前に持ち出して使われていると思うのですが。

確かに、米国でノートPCを持ち出して使う人が多いですね。そういう必要がある人がリスクを自覚してノートPCを持ち出して使うことは否定しません。また、紛失・盗難したPCの情報消去や追跡サービスなどもあります。
そういった紛失・盗難リスク対策を突き詰めていくと、モバイルシンクライアントという解決策が浮かび、実際製品が出ています。モバイルブロードバンドが普及しつつある中、今後モバイルシンクライアントはより現実味を持ち出すと予想しています。


一方、そういう持ち帰り仕事をすべきでないと定義される人も多くいます。定型的な仕事をオフィスでこなすことが求められる人々です。そういう方々は派遣や請負とかの形態も多く、人の入れ替わりも比較的多くあります。そのたびごとに新しい構成のPCを用意するのは大変なので、シンクライアントを使い仕事ごとの構成を仮想化した「定義ファイル」で用意して簡単に用意できるとか、いう形態の方が、管理コストを下げることができます。

かつて、私は、Microsoft Systems Management Server という分散システム集中管理ツールのプロダクトマーケティング責任者をしていました。1995年とか97年ごろ、クライアント・サーバー全盛期の話です。システム管理の問題の解決策として、そういったクライアントPC管理ツールは進化していますが、それと平行して違うアプローチから問題を解決する手段が多様化しています。

教条的に考えるのではなく、多様な現実にあわせて考えることが今求められると思います。

2009年1月17日土曜日

BLINKを懐かしんだ私が愛するGoogle Notebook, "few dozen" 分の一 な私

Google Notebookが開発を停止し、新規アカウントは募集されなくなるとか。サービス停止も近いのかもしれません。

その虫の知らせでしょうか?私は昨日、元祖ブックマーク共有サービス、
BLINK(ブリンク)のことに想いをはせていました。日経ITProの2003年の記事「323億円買収の影で楽天から切り離された,ある無料サービス 」でも紹介されている、1999年5月に始まったブックマーク共有サービスです。Web 2.0という言葉ができる前の時代であり、みんなでYahoo!ディレクトリみたいな体系だったリンク集を分類的な発想で作ろうとしていました。

2000年にAll Aboutでアライアンス開発担当だった私は、ガイドが作る「人系サイト」とブックマーク共有とで何か新しいことができるのではと持ちかけられたことがあります。みんなでディレクトリを作ることはトライしてその難しさを実感していたので、うまくいかないだろうと判断しました。ブックマークという個人的なものを足してもそれはノイズが積み重なり使えなくなっていくだろうと考えたからです。結局BLINKはメジャーになりきれませんでしたが、維持費も安いからと日本では命脈を保つことになりました。 その後、はてなブックマークや米国でのDeliciousの隆盛をWeb 2.0時代に迎えるのですが、私が愛用しているのは、Google Notebookの方です。

単なるブックマークでは後から意味を拾いにくいのが、Google Notebookではクリッピングとしてページの気に入ったところを切り取れるので、手軽にいいスクラップブックが作れます。私のNotebookを見ても、管理者削除されそうで案の定消された投稿とか、非常に貴重な情報が残っています。
Google Notebookはそれで収益を生み出すようなモデルを内包していないため、居なくなった開発者を補充してバージョンアップするような計画を持てなかったようですが、こういういいサービスのためになら多少のお金を払ってもいいのに消えるのは惜しいととても残念です。 ところで、CNETの英文元記事で、

Google Notebook is losing its developers. It will stay live for now, for the (few dozen) people who use it, but the blog post announcing its imminent stagnation points everyone else to products that perform some of Notebook's functions: the SearchWiki function, Google Docs, Tasks (in GMail), and Google Bookmarks.
とある "few dozen"ってホント?と驚きました。日本語の翻訳の数十というのが誤訳じゃないかと疑ったら確かにそう書いてあり、英文記事にはその "few dozen"への突込みが2件入っています。私はそんな貴重なユーザーの一人だったんでしょうか?

いずれにしろ、Webサービスに寿命があり、それはGoogleのものでも免れないということは確かなようです。Nifty ココログのように一年放置でデータが消えるとかいう困ったサービスもありますが、それ以外の寿命が明示されていないサービスも安心はできないようです。

2008年8月28日木曜日

外資企業での「報連相」の実態を紹介します

> 確かに一理!「報連相なんてムダ!」という外国人ビジネスマンの言い
アメリカ系外資企業の勤務暦が延べ10年以上、という私からすると、この記事はある意味真実である意味誤解されていると思いました。

では実態を紹介しましょう。

■外資では、結果が細かく定義されていて、実はレポート頻度も高い
> 大事な事は結果だ。結果が全て。結果を出すまでのプロセスをイチイチ「報連相」するのはオカシイ
だそうです。私の経験した範囲でいうと、結果がすべてなのはそうです。ただ、それでうまく会社が機能するように個人の目標が細かく分かれていて、日本的な感覚でのプロセスレベルまで結果が細かく分かれています。

要するに売り上げが上がって利益がでて、現金が回収できればいいのが会社とすると、そうはいあっても売り上げの元になる見込み顧客(リード)を捕まえたり、その種になるブランドや認知も必要です。そのあたりも各自の「結果」として定義されているので、結果がすべてで回るわけです。

KPI(重要業績達成指標)が細かく「結果」として定義されているので結果を出せば問題なしというわけです。また、四半期とかの締めでの着地点も毎週予測を直したりして、つまり細かく報告し連絡しているまた、駄目そうなら相談するということも実はやっているわけです。

逆に日本企業は結果が大雑把なので、定義されていないプロセスを細かく連絡・報告・相談することが必要とされます。

■権限委譲の話
このあたりは文化の違いの範囲だと思います。多国籍企業では、いろいろな文化背景を持った人が混じっており、人やチームに依存することとかをよく見ます。

ただ、外資は」縦割り度が強いのは確かで、権限委譲というより、縦のつながりの強さを感じます。

日本は「隣百姓」文化があると聞きます。周りを見ながら、信頼する隣が種を撒いたらじゃあうちもと同じことをしておけば、大過なく農作物がとれるというある種の知恵です。

外資だとそうじゃなくて、やるべきことは上から落ちてくる傾向が強く、周りを見ながら気を利かせて勝手にやるとかいう行動原理はあまりありません。

そのおかげで、うまく機能していないチームはとことん困るとかいうこともありえます。

いずれにしろ、仕事のスタイルが違うので仕事文化も違うという感じです。そして、トータルでみると大ききくは違わないのでそれなりに機能しているともいえます。ただ、しっかり根回ししてちゃんとやったのにその先で期待通りに動いてくれないとかあると、「ああ俺は今外資に居るのだ」と実感するわけです。

2008年7月22日火曜日

媒体資料から、Webマーケティング的に毎日新聞WaiWai事件を読み解く

英語で日本国内の政治、経済、社会のニュースを配信しています。   
また、日本の伝統文化、社会風俗、外国人コラム、毎日新聞社説などを
盛り込み日本の情報を発信しています。
チャンネルデータ(2006年9月実績)
PV数 1000万
ウィークリースーパーバナー
料金 ¥ 500,000(100万imps想定) 期間保証
掲載期間 1週間 枠数 1枠
掲載面 Mainichi Daily News 同時掲載本数 5本以内

http://advertising.msn.co.jp/channel/news_eng.htm
http://s04.megalodon.jp/2008-0722-2311-26/advertising.msn.co.jp/channel/news_eng.htm
(念のための魚拓)
というのを、MSN Mainichi Daily Newsの媒体紹介資料を見つけました。
WaiWai事件で火がついたのは、MSNと分かれた後ですが、その前から、社会風俗はコラムや社説に並ぶような大きなテーマであったことが分かります。また、主な商品は、一週間で100万インプレッション(表示回数)を想定するというバナーであったため、ページビュー(PV)を維持し、伸ばすことが求められていたと推定されます。月間1000万PVは、週間で約250万PV、なので、同時掲載5本以内というコントロールだと50万インプレッションになるはずなのですが、ここは少なめに抑えるとかしたのでしょう。

ともかく、アクセスを稼ぐことが求められたのがこの当時の一般的な広告モデルのWebビジネスのありかたでした。

なぜ?ZAKZAKよりも高い、Mainichi Daily Newsの男性比率

これだけを見ていると分かりませんが、当時のMSNで扱っていた他媒体との比較でプロファイル上の特性に気づきました。英字紙なので、海外からのアクセスが約半分と多いのは当然なのですが、その分を考えても、男性78%、女性19%というのは、他より男性が突出しています。MSN毎日ニュースでは男性比率は63%でした。

私のイメージでは、英語が得意とかがんばって英語を読むのは女性のほうが多いはずでした。なのに、逆に媒体プロファイルでは男性比率が上がるというのは不思議です。媒体資料にもある社会風俗記事が人気を集めていたため、男性が集まったのか?などと考えてしまいます。
男性が好きそうな類似媒体ということで夕刊フジから派生したWeb媒体ZAKZAKのプロフィールを見ると、こちらは、男性が69.2%でした。時期が違うとは言え、おやじ向け媒体のZAKZAKより9%も男性比率が高いというのは、やはり何らかの特殊な媒体だったのではないかと思えてきます。

これはMainichi Daily News全体としての情報なのでWaiWaiに限るともっと比率は極端だったのか、それともWaiWaiのページビュー比率がやたら高かったのか?いろいろ考えさせられます。

結論:広告読者属性情報は心して読むべし
真相は分かりませんが、単に数を稼げばいいというものではない場合、広告媒体の読者プロファイル情報は心して読むべきでしょう。

2008年7月13日日曜日

磁気処理水の次週にダウジング、テレビの自由と責任を問う

前回、キューバでの磁気処理水を無批判に取り上げたことで、昔はこんなこと無かったはずと首をひねらされた、TBS番組の日立世界ふしぎ発見。今回は、ストーンヘンジのストーンサークル内でのダウジングを大々的に取り上げていました。公式サイトから長めに引用してみませよう。 http://www.tbs.co.jp/f-hakken/mystery1061_2.html

今回はいくつかのストーンサークルを取材しました。そしてそれぞれのストーンサークルでダウジングをしたんです。ダウジングとは、L字型の器具を使ったエネルギー感知法です。水道局の人が水道管を探すときに使ったりもするそうです(笑)。短い方を軽く握り、平行に持って歩いて、何らかのエネルギーがある場所にくると、開いたり左右に動いたりします。
取材したストーンサークルでダウジングをすると、中心の重要なポイントにくると左と右が逆方向に回転したんです。私も何度かダウジングをしましたが、今回のようなケースは初めてです。しかもどのストーンサークルでも同じ反応でした。それがどんなエネルギーなのか、何を意味するのかはわかりませんがとてもふしぎな体験でした。
ダウジングは、こっくりさんと同じ、不覚筋動でおきる現象というのが一般的な説です。今回はストーンサークルでだけ「開いたり左右に動いたり」したそうですが、「何かのエネルギーがある場所に来ると」という説明もされています。器具が動くのでエネルギーが働いているのは確かですが、無意識の筋肉の動きかもしれないということよりも、未知なるふしぎなエネルギーと取れる内容でテレビでも紹介されていました。

科学番組じゃない、「ふしぎ」を発見する番組だといわれればそれまでですが、もう少し科学的な態度で臨んで欲しかったと残念です。

そういう説があるのか知りませんが、個人的な推測としては、ストーンサークルは遠くから運ばれた特別な石が使われているそうで、それが多少でも鉄鉱石なり帯磁性のあるものを含めば、ストーンサークル全体で100トン級の相当な質量があるので磁気で鉄の棒が動くとか、鉄の棒自体が帯磁して磁石になっていて磁気のバランスでくるくる回るとかあっても不思議ではないでしょう?

電気モーターといえば、日立製作所の創業の商品です。GEがエジソンの電球で語られるのと同列の大切なものなはずです。そう思うと、最近の世界ふしぎ発見のあまり科学的でない傾向には疑問を感じざるを得ません。

2008年7月7日月曜日

ネタばれ注意:テレビで紹介された磁気処理水への懸念

私の好きなテレビ番組のひとつ、世界ふしぎ発見で、キューバで行われている農法の解答として、水を磁気で処理していることが紹介されました。実際現地ではそう信じられて使われているようなので「誤報」ではないと思います。しかし、回答者の黒柳徹子氏が、自宅でも使っていると証言しながら正解を獲得していたとか、スポンサーが一社スポンサーである日立グループが、水処理プラントの大手でもあるという事実からすると、これは見過ごせない問題だと感じます。何人もいらっしゃるという頭脳集団である日立グループが「疑似科学」と指摘もある磁気処理水問題を無批判に広めることを見過ごすのであろうか注目したい。

Wikipediaの磁気処理水の項目:
にあるように、現代日本においては、磁気処理水は科学的根拠がないとされている。旧ソ連で研究がされていたということから、現代のキューバで信じられて使われ続けているという現象は理解できます。しかし、それは、古代のふしぎな文明の習慣としてではなく、現代の知見のひとつとして紹介されているので、それが合理的なものだと誤解される可能は大いに高そうです。

「ふしぎ」を発見する番組だといわれればそれまでですが、しかし、キューバに対して歩ティブに描かれたその文脈で磁気処理水の根拠に使われるのはうれしくない。テレビ番組の伝達力は強力なものがあり、社会の公器を扱う会社として厳密に取り組んで欲しいと期待します。

2008年6月22日日曜日

Google Trendsに気をつけろ!

Google Trendsというアクセストラフィックの比較ができるサービスがリリースされました。

しかし、TechCrunch Googleがトラフィック統計参入(TechCrunch, 6/21)

アグリゲートしたGoogle検索データ、オプトイン方式でアグリゲートした匿名のGoogle Analyticsのデータ、オプトイン方式で集めた消費者パネルのデータほか、サードパーティーの市場調査など、様々なソースからの情報をひとつにまとめる。

グレイト。つまり本当かどうか信憑性も分からない、100%不正確の可能性もあるトラフィック情報のソースがまたひとつ増えるということか。グーグ ルはその巨大な検索情報のデータベースをレバレッジできるので、他サービスよりもっと正確なトラフィック測定値を出せる可能性もある。それだけで Alexaその他の仲間たちは内心ビクビクかもしれないが、サイトにAnalytics情報共有のチャンスが与えられるまでは、どんなランキングもかなり 疑いの眼差しで受け止められそうだ。

と書かれているように、そのデータは注意が必要です。ニールセン・オンラインの萩原社長もご自身が主宰される人気メーリングリストでそのことを指摘されています。誤解する人が出るだろうという心配は杞憂では無いようで、Google Trendsのサイト比較結果の不思議 といった疑問を持ちつつも根本的なデータの見方を誤解されている投稿が出始めています。

やはりGoogleというブランドで出るサービスだけに、情報を不思議に思うならまだよいですが、誤解して鵜呑みにする人が出てきそうです。Googleは自社のブランドを守るためにも急ぎ、そのサイトの性質をより正確に説明すべきでしょう。

なお、私自身はGoogle Trendsには今までの他社サービスに無い可能性を感じています。
例えば似た企業サイト同士とか、条件が近いサイト同士の比較とか、Google Analiticsを使っているサイト同士の比較とか何か条件付だと使えるデータが中にはありそうだと思うわけです。

例えば、OracleとSAPの比較
http://trends.google.com/websites?q=oracle.com%2C+sap.com&geo=all&date=all&sort=1
とか、Alexaだとパネルの違いから意味がないと断言できましたが、Google Trendsでは意味ある
データかもしれないという可能性を感じます。

調査母体の性質や調査方法はよくわかりませんが、企業ユーザーとかがある程度十分な数含まれていて相対的な比較では意味を持ちうる可能性を感じるわけです。

とはいえ、闇鍋状態であるのは確かで、より注意して扱うべきでしょう。